「うつになるような辛い出来事があったわけじゃないし、仕事量が限界にきているわけでもない。病院に行くほどつらい症状でもないし、頑張ったら何とかなる事ばかり。こんな私はうつ病にはあてはまらない。」

時代背景もあるのでしょうか。今、こんな方が増えているようです。

そんな方は、もしかしたら「プチうつ」かもしれません。

 

 

一般的なうつとは症状が異なる「プチうつ」

「プチうつ」は、お医者さん達の間では「非定型うつ」と呼ばれる、「うつ病の一種」です。

一般的なうつ病の症状の代表的なものに、不眠・朝がたの不調・食欲不振 があります。

それに対して、「プチうつ」の症状の代表的なものは、過眠・夕方の不調・過食 などがあります。

一般的なうつ病 非定型うつ(プチうつ)
不眠 過眠
朝がたの不調 夕方の不調
食欲不振 過食

表を見るとわかりやすいかと思います。一般的なうつとは真逆ですね。

また、「プチうつ」の場合は、良い事や楽しい事があると気分が明るくなるという特徴もあります。

これは、エネルギーが消耗しきっていないため、少し刺激を与えられると(一時的ではあっても)本来のレベル近くまで回復してしまうからなのですが・・・これが状況をややこしくしている大きな原因です。

 

「うつ病の人って、嫌な事だけじゃなくて、好きだった事まで出来なくなるんでしょ? 私は楽しい事はできるから、うつ病じゃない。甘えているだけなんだ」

そう思ってしまうのです。

 

ネットや本のチェックリストにあてはまらない「うつ病」

プチうつの難しいところに、「症状が明確でない」という点があります。

自分の調子の悪さをネットや本でチェックしても、うつの基準から外れています。

特にショックな出来事があったわけでもないし、職場に大きなストレスがあるとは(自分では)思えません。

なぜ自分がこうなってしまったのか、説明がつかないのです。

 

しかも、昨日は調子が悪かったのに、今日はやれそうだ、という日もあったりします。そうなると、ますます自分の気持ちの持ちようなのではないかという考えが強くなってしまいます。

「この程度の事は自分で乗り越えなくてはいけない。他の人だってこの程度の辛さは我慢して頑張っているものだ」という風に考えてしまい、もっと頑張ろうとしてエネルギーを消耗してしまうのです。

そして、仕事やスポーツで、体調の悪さや気分を晴らそうとして、結果的に症状をますます悪化させてしまう事にもなる・・・のような悪循環が生まれます。

「プチうつ」の症状は、中程度のエネルギー切れによるものだと考えられています。

「過眠」は、たくさん寝ても疲れが取れないから眠くなるだけの話。

「夕方の不調」は、エネルギーが夕方まで持たない・・・エネルギー切れになっているという事です。

「過食」も、必死に体がエネルギーを取り込もうとしていると考えれば、ごくごく自然な現象なのです。

「プチうつ症候群の正しい理解と知識」より引用)

(「過食」に関しては、不安な気持ちに直面するのが怖くて、心を麻痺させる効果を求めている場合もあるのですが)

 

「プチ」の呼び名にだまされないで!

「食べられない・眠れない」というような、「生命維持の危機」に直結するような症状ではないため「辛さが軽い」と思われがちですが、そうではありません。

一般的なうつ病は「大切な人の死、リストラ」などの、本人が自覚しやすいストレスが原因でエネルギーが完全に枯渇してしまい発症する事が多いです。

それに対し、プチうつはストレスだと自分で認識できない程度のストレスなどの慢性的な疲労が蓄積することが原因で起こるので「プチ」と呼ばれているだけの話なのです。

(もちろん、慢性的な疲労が重なって、一般的なうつ病の症状になったり、その逆もあるのですが)

非定型うつの方には、その人なりの、その人にしかわからない辛さがあって、その辛さは「一般的なうつの人よりマシ」なんてことは、絶対にないのです。

 

まず、一番つらいのが、周りに理解してもらえない事です。

一般的なうつ病でも未だに「甘えだ・気の問題だ」という人がいるのに、非定型うつになると、周りの理解度は、絶望的だと思ってもいいかもしれません。

「最近は、都合のいいうつ病が多すぎる」のような社会風潮もあり、非定型うつ・プチうつの人の心を苦しめているのが現状です。

(当の本人すら理解していないというか、甘えだと思っているのですから)

この段階で周りの方の協力を得ながら適切に対処すればドロ沼にはならずに済むかもしれないのに、そうは出来ない方がとても多いんです。

プチうつは、決して軽く見ていい症状ではありません。

ご自身の心と体の状態をしっかり見つめて、早めの対処が出来る人が増えると良いなと思います。

 

 

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ゆるぼん(富田れいこ)

ゆるぼん(富田れいこ)

心理カウンセラー。 うつ病、社交不安障害(社会不安障害)、パニック障害、摂食障害などの心の病気や、毒親・毒母問題のカウンセリングを得意としています。